第1回 はじめに
こんにちは。フロンティア資産評価研究会メンバーの関と申します。
私が「空き家問題」に取り組んだのは、5年前、2014年に「NPO法人兵庫空き家相談センター」の設立に関わらせて頂いてことが始まりでした。以来「空き家問題」をライフワークとして取り組んでいます。 そこで今回から徒然なるままに「空き家問題」について、雑感を語っていきたいと思います。
第1回目は、「空き家問題を大きく把握する」をテーマとしたいと思います。
最近空き家問題が、テレビや雑誌でよく取り上げられています。 その大半は、崩壊しかけの家であり、近所迷惑だし大変だ!というような、インパクト重視の「キングオブ空き家」が多いように思われます。 おそらく「特定空家特措法」施行以来注目されている「特定空家」、つまりボロボロで近所迷惑な空き家をイメージした切り口なのだと思われます。 確かにそれも空き家問題です。 考えてみると「空き家問題」をテーマに話をする時、その課題となるテーマの多さに驚きます。
例えば、「空き家」について話をする時、それぞれの脳裏に描いている空き家が、田舎の空き家なのか、ニュータウンの空き家なのか、都心部の空き家なのかによって、空き家の持つ問題が異なります。 さらに、自治体のセクションによっても空き家問題が異なります。つまり、消防署は防災の面で、警察署は防犯の面で「空き家問題」を語りますし、部署によっては、市民からのクレーム、固定資産税の徴収、高齢者福祉の面などで語られます。数えるとキリがありません。 それほど「空き家問題」は間口が広いテーマで、切り口が異なるものなのです。
木を見て森を見ずという言葉がありますが、枝葉の話にばかりに目を向けたり、例外に踊らされたり知ると、本質を見逃しがちになります。 実際に私が所属している「NPO法人兵庫空き家相談センター」でも、話が噛み合わなくなる時があるように感じます。散々「空き家問題」を議論している仲間であるにも関わらずです。
そこで「空き家問題」を考える時は、根本的原因をしっかり掴んだうえで、議論をしないと話は進みません。
空き家問題の根本的原因の一丁目一番地は「需要と供給の原則」が崩れていることです。 不動産鑑定士的言語で言えば、「需要と供給の原則」とは、「一般に財の価格は、その財の需要と供給との相互関係によって定まるとともに、その価格は、また、その財の需要と供給とに影響を及ぼす。不動産の価格もまたその需要と供給との相互関係によって定まるのであるが、不動産は他の財と異なる自然的特性及び人文的特性を有するために、その需要と供給及び価格の形成には、これらの特性の反映が認められる。」となります。 なんのこっちゃわかりませんね(苦笑)。
要するに、「需要」つまり「家」を必要とする人が減ったから、家が「空き家」として市場に溢れだしたということです。 そして「需要と供給の原則」が崩れている原因として、「人口減少」「少子高齢化」「一極集中」「地方衰退」などが挙げられます。
そう考えると、例えば盟友佐伯亮太氏が、兵庫県たつの市でやっておられる「NPO法人ひと・まち・あーと」は、城下町の街並み保存という命題を克服するため、街の魅力を武器にして、需要を広く掘り起こす活動をしておられるんだなぁと言い換えることができます。 ま、簡単に言うと叱られてしまうかもしれません(汗)。 「NPO法人ひと・まち・あーと」の活動については下記URLを見て頂ければ幸いです。 http://npo-hma.net/
話が蛇行しました。 次回は、私がプロジェクトリーダーを務めさせていただいている「川西市空き家対策ナビゲーター養成講座」について書きたいと思います。
空き家対策最前線
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