Amrican Society of Appraisers(ASA)の機械設備分野には、評価人資格を受けるための評価原論(Principal of Valuation)の講座としてME201~204がある。 この全課程を受講し、試験に合格することが評価人になるための登竜門となる。
このほか資格認定ではないが、更に細分化された専門分野に関するカリキュラムがある。 この中で、在庫(棚卸資産)の評価に関するME206というカリキュラムがあり、私も受講した。 ME206は認定試験のある講座で、試験も無事通過したものの、今ひとつ腑に落ちないところがあったため、翌年開催されたセミナーを再度受講している。
その中で「"バンドルオブライツ"に気をつけろ」と教えられた。 在庫資産と言っても担保権者が担保権の実行で取得したあと、自由に処分できるというわけではない。 例えば特約店契約や独占販売契約など一身専属の権利がある場合、あるいは知的所有権などによって利用や処分方法に制限を受ける場合、つまり、モノを所有していても一緒に販売などの処分を行う権利がない場合には担保にとっても自由に換金処理できない。 こうした説明を受けたため、"バンドルオブライツ"とは単にモノと付帯した権利のことを指すのではないかと思い込んでいた。
しかし、最近、在庫資産の評価について話をする機会があり、改めて「Bundle of Rights」とはなんぞや?と思って調べてみると、少しニュアンスが違うことに気づいた。
Bundleは「束」、Rightsは「権利」すなわち、「権利の束」というべきものである。
・the right to use or keep others from using:資産を使用する権利・排他的に使用する権利
・the right to possess:資産を所有する権利
・the right to transfer:資産を売却するなど処分をする権利
・the right to encumber:資産を担保として金銭を借り入れる権利
・the right to enjoy:資産を使って楽しむ権利
といった一連の権利(ソースによって若干表現は異なるようである)を束ねたモノと言うことができる。
これは、不動産についてのBundle of Rightsであるが、機械設備についても同じことがいえるだろう。 モノを手に入れれば当然こうした権利も付随して手に入れられると思いがちであるが、必ずしもそうではない。
実際に物の価値は権利が介在しなければ経済価値には化体しにくいものだし、 知的財産権などはいっそうこうした傾向が強くなる。 であるから、baundle of rightsの中身の確認は重要で、その中身を十分に知ることはさらに重要である。 以前評価を担当した機械でも、特許権の侵害で弁理士から警告の出ているものがあった。 これもBundle of rightsに影響する要因のひとつである。 当然ながら、こうした事実を無視して評価を行うことは許されないし、Bundle of rightsの中身が機械の最有効使用、ひいては評価額に影響を及ぼす。
ある意味で当たり前のことなのであり、普段は意識しているはずのことであるのだが、 どうもきっちりと体系化されていなかったところに自らの不勉強を感じたところである。
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