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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

評価人として悩ましい設置コストの問題

機械設備の評価を行う上で無視できない問題が設置コストの問題です。

動産の評価といっても多岐にわたり、大規模なプラントや石油タンクなど敷地に固定的に設置されるものもあれば、航空機、船舶、建設機械、自動車のように単独で移動できるもの、商品在庫のように一時的に置かれるだけのものと様々です。

 

特に固定的に設置されている機械設備等の場合は、設置コストの捉え方が問題になります。 こうした資産は、設置して使用し収益を上げている状態であれば設置コストも価値の中に含まれますが、撤去して機械設備のみを売買する場合などは、設置コストを含めない価値で考えることが一般的です。

ですから、評価に当たって、どういう状況を前提とした価格を求めるかを決めておくことは非常に重要であり、この点について評価人と御依頼者の間でまず、じっくり検討することになります。

設置コストの範囲も問題となります。企業会計や税法の規定では

企業会計原則第三 貸借対照表原則 (資産の貸借対照表価額)  五 貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。 D 有形固定資産の評価  有形固定資産については、その取得原価から減価償却累計額を控除した価額をもって貸借対照表価額とする。有形固定資産の取得原価には、原則として当該資産の引取費用等の付随費用を含める。

法人税法施行令 第54条一(当該資産の購入の代価) 引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税等その資産の購入のために要した費用 当該資産を事業の用に供するために直接要した費用の額

いずれも取得原価には本体価格のほか、付随費用や副費と呼ばれる運賃、据付、組立、試運転等にかかるコストが含まれます。 つまり、評価に際して御依頼者から提示される資産台帳の価額にはこれらが含まれているのが原則になりますが、複数の資産を一括購入した際などに、設置コストだけが試算として一括計上されている台帳も見たことがありますので、注意が必要です。

評価に当たって、購入時の契約書や見積書があれば、本体価格と付随費用を明確に区別できるのですが、そうした資料が見つからない場合も多いほか、数百点、数千点が対象資産になる場合は一つ一つ特定は出来ませんから、他の事例やデータから得られた概算価格を付随費用として区別することになります。 設置コストは数%~30%程度というのが良く目にする数字ですが、精緻に求めることは意外と難しい数値でもあります。

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