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  • 執筆者の写真Frontier Valuation

中古市場と情報の非対称性:中古品の選択とインターネットの役割

更新日:2023年9月27日

 経済がデフレからインフレ傾向にシフトしつつある所為なのか、最近は中古ビジネスが盛んである。  デフレ経済は物価が下落している経済つまり、物の供給が課題で相対的に貨幣が少ない状況だから、中古品に手を出さずとも新品を買えば良い。インフレはその逆で、貨幣の供給量が多く、相対的に物が希少になる経済だから、新品を再調達するのが困難になり、中古品の価値も上がることになる。  ここのところ中古車販売会社ビッグモーターの様々な不正が明るみに出て連日報道されているが、中古品は新品と異なり、前所有者に使われていた物だから、どういう使われ方をされていたのかにより状況は異なり、全て一品物ということになる。  そうなると大事なのが前所有者がどのように使っていたかということになる。中古品を取り扱うプロであればものを見ればある程度は物の状態を見抜くことが出来る、いわゆる「目利き」であるのだが、一般の人に物の状態を見極めることは困難で、売手と買手の間で持っている情報量に格差があり「情報の非対称性」が存在する。  そうした情報を売手が開示すれば問題は起きないものの、馬鹿正直に情報を開示してしまう売手は少ないし、正直な売手がいたとしても結局は業者間競争に敗れ、淘汰されてしまう。  市場に出てくる中古品も悪い物ほど利幅が大きくなるから、出品する方は安く仕入れた悪い物を出して高い利幅を取ろうとしてやがて中古市場は粗悪品ばかりになってしまうと言われている。こうした非合理的な選択が起こってしまうことを逆選択といい、中古車市場は俗に「レモン」と呼ばれる粗悪な中古車ばかりになるから「レモンの原理」とも呼ばれ、広く知られている。  インターネットなどのデジタル化で高度に情報化社会になった今でも、こうした問題は解消されることはなく、未だに存在している。複数社から見積が取れる見積もりサイトも存在する。一見、競争原理が働いて合理的ではないかと思うのではあるが、内幕は必ずしも明らかでない。紹介手数料の設定である会社が有利だったり、運営は一応公正でも、参加している業者が契約取ることをとにかく優先するあまり、本来であれば出さないレベルの見積もりを出すといった不正な行為を行う例が後を絶たないといった問題を抱えている。  また、実際に見積もりサイトに依頼を出してみれば分かるが、迂闊に出せば凄まじい営業攻勢を受けることは覚悟をしておいた方が良い。  その他、評価のセオリーから見ていつも不信を感じるのは「高価買取」というキャッチコピーである。

 基本的には中古業者に買取ってもらう価格が、市場で売手として直接売買される価格より高い事はあり得ない。  中古業者が買い取って中古市場で買手を見つけ販売する場合、買取の市場は「仕入れ」ということになる。商売の基本は安く仕入れた物を高く売ることであり、売値より仕入値が安いのは当然である。最もその利ざやが不当かと言えばそうとも言えない。中古品の販売業者も仕入れた物を売却しないと利益を得ることは出来ない。したがって、買手を見つける努力をしなければならず、そのためのコスト、また買い手を見つけるまでの間、良いコンディションで商品を保管しておかなければならず、そこにもコストがかかる。そうしたリスクを引き受けているのであるから、不当な利益とまでは言えないのである。  もし最も高値で中古品を売却したいなら、自らが売主として中古品を売れば良いのであるが、その分、コストやリスクを引き受けなければならない。  「高価買取」というフレーズは顧客に対しては”刺さるフレーズ”なのかもしれないけど、理屈から考えると正しいとは言えないフレーズなのではないかといつも思うのである。適切さを追求するなら「楽ちん」「リスクなし」辺りが妥当だと思うのであるが、顧客への訴求という意味では今ひとつ弱いだろう。    自由な市場で生き残るのはなかなかシビアである。

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