円高ウェルカム

東京市場の日経平均株価を見ていると、円高になれば株価は下がり円安になれば株価は上がる。ある意味、常識のようなものである。円高になれば日本から輸出する品物が割高になること、円安になれば海外で受け取った外貨を日本円に換算すると額が増えるからである。 かつて、日本は「加工貿易の国」と言われていた。すなわち、海外から原材料を輸入して工業製品に加工し、それを海外に売って稼いでいた。原材料を工業製品に加工して売ると言うスタイルである。 ところが、1985年のプラザ合意の後に急激な円高シフトで不況に陥り、為替リスクを回避するため大企業はもとより、中小の企業まで生産拠点を海外に移す流れが加速した。 実際に、海外が絡む機械や設備などを評価してみると、為替リスクがいかに強烈なものか、身をもって感じる。中小メーカーまでをも海外進出に駆り立てるのも当然なレベルである。 30年以上、こうした流れが続いている所為なのか、UNCTADのデータによれば2020年の日本の輸出総額は世界第5位である。


1.中国 2,590,221

2.米国 1,431,610

3.ドイツ 1,380,647

4.オランダ 674,870

5.日本 641,319

6.香港 548,773

7.韓国 512,498


アメリカに次いで世界第2位の貿易立国と言われていたのだが、今や3位ドイツの半分以下という水準にまで落ち込んでしまっている。 と言うことは日本国内の工場で作る製品は日本国内向けのものが多くなっていると考えられる。実際のところ、機械設備の評価の際にお話を伺っていると「うちは円高はあまり関係ありませんね」とか「原材料価格が下がるから、むしろ円高ウェルカムですよ」といった声も意外に良く聞く。 グローバルで利益を上げる企業は株式市場での存在感も大きく、「円高は株安」という常識が今も通用しているのであろう。一方で商流によっては逆に円安の方が嬉しい企業もあることは事実で、”常識”がすべてのケースに通用するというわけではないようだ。企業や資産のポジションをしっかり見極めなければならない。

言うまでもないが、家計の、特に支出からすれば円高ウェルカムである。 ここのところの円安に加え、海外でのエネルギー、原材料、食糧価格の高騰は家計に厳しいことは間違いない。円安になれば日本の購買力は相対的に弱くなり、海外の需要家との競争で買い負けてしまう。 アベノミクスの恩恵は東京2020大会の閉幕と共に終わりを告げ、どうやらその後始末の時期に入ってしまったようだ。金融政策の変更によって円安方向へ振れたものの、メリットよりデメリットの方が次第に大きくなっている。 とはいえ、円安時代にはそれを利用した戦い方が当然ある。昔に回帰するのではなく未来を先取りする方向に向かえば良いのだが。

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