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執筆者の写真Frontier Valuation

俄に出てきた「公益資本主義」というキーワード

更新日:2021年2月10日

ここ最近「公益資本主義」という言葉を目にする。


※詳しい説明はこちらにあるので御紹介しておきます。

期待される、日本発の『公益資本主義』 https://media.valcreation.co.jp/2020/01/27/public-capitalism/

グローバルな潮流は残念ながら日本が発信源になることは少なく、海外のスタンダードを必死にキャッチアップするような形になり、しっくりこない思いをすることが多かった。 そんな中で、日本発の潮流が生まれれば大変喜ばしいことである。 以前「アウトプットとアウトカム」という記事をまとめたことがある。民間企業の「アウトカム」について考察したが、SDG'sやESGといったものが重視される風潮から、損益計算書だけでは測定できないアウトカムが重要視される社会になってきたとみていたので、「公益資本主義」という考え方は今の流れにマッチするのではないかと思ったところである。 「公益資本主義」の対極にあるのが「株主資本主義」と見られていて、株主資本主義がいかに利益剰余金を増やすかに腐心しているのに対し、「公益資本主義」は企業を「社会の公器」と捉え、社員・顧客・仕入先・地域社会・地球といったすべての社中(しゃちゅう)に貢献することで企業価値が上がるという考え方に立つという。 確かに、従業員の賃金を生活できないレベルにまで削り、資本家や経営者が多額の利益やフィーを得ている社会的不平等が蔓延している。世界各地で起こっている2極化、分断はその最たるものだろう。 特に事業評価の世界では、純収益を割引率で割り戻す収益還元の考え方が主流である。純収益は収益-費用であるし、割引率はWACC(加重平均資本コスト)が用いられる。WACCは銀行などからの借入(デット)と投資家からの投資(エクイティ)の加重平均である。 しかし、ここには、「社会が公器である」という概念が入り込む余地はないように思える。そうなると、「公益資本主義」の考え方が浸透すれば、評価の世界の人間もパラダイムシフトを迫られるかも知れない。そこで、順応していくか、抵抗勢力になるかはその人次第だろう。 利益一辺倒ではない考え方が浸透して貧富の格差の縮小や、お行儀の悪い超大国にお灸を据えることになって貰えれば結構なことである。


 

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